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加治 芳行; 菊地 賢司
日本材料強度学会誌, 30(2), p.59 - 73, 1996/00
高温クリープ条件下で使用される高温機器において、供用中に発見されるき裂について伝播特性をあらかじめ把握し、引き続く高温荷重に対する余寿命を推定する手法を明らかにすることは実用上重要である。本論文では、Fe基耐熱合金のAlloy800を用いて、種々の温度・応力条件下でのクリープき裂伝播試験を行い、Qパラメータを求めき裂伝播速度を評価した。また超高温延性材料であるAlloy800とNi基耐熱合金のハステロイXRに対して、同一のQパラメータ及びクリープ積分Cパラメータによってき裂伝播速度を比較評価した。さらにQパラメータによって表されるパラメータによって、両材料のクリープ破断寿命を比較評価し、このパラメータによって、材料による特性の相違や試験片の形状効果等を評価できることを明らかにした。
渡辺 勝利; 近藤 達男; 小川 豊
Nuclear Technology, 66, p.630 - 638, 1984/00
被引用回数:5 パーセンタイル:51.32(Nuclear Science & Technology)オーステナイト系耐熱合金の高温における引張性質とクリープ性質に及ぼす中性子照射の効果を調べた。高温における延性の低下は合金中の硼素およびニッケルと熱中性子との核変換反応により生じるヘリウムに起因し、破壊モードは粒界破壊であることを特徴とする。最大熱中性子照射量を1.210n/mとし、照射後の引張性質を700~1000Cの間で調べた。また、クリープ試験は900Cにて行い、熱中性子照射量は6.610、7.510n/mとした。引張延性は変形温度の上昇とともに減少するが、これは主として局所伸びの低下にもとづくものである。一方、照射後クリープ試験の結果では破断寿命の著しい減少がみられた。引張性質とクリープ性質の両者を総合すると、鉄基合金の方がニッケル基合金よりも優れ、特に、インコロイ800では照射に対してきわだって高い抵抗性を示した。
小川 豊; 新藤 雅美; 近藤 達男
JAERI-M 9949, 26 Pages, 1982/02
厳しい熱サイクル条件下で使用する材料として開発されたハステロイ-Sについて、VHTR He中の酸化とクリープ特性をしらべ、ハステロイ-XRのデータと比較した。酸化試験は、1000Cで1000hrまで、クリープは900Cで1700hrまでとした。得られた結果は、(1)SはXRより優れた耐酸化性能を示す。これはCrが比較的少なく、Mn/Cr比が大きいほど耐酸化性がよいという既得の知見に一致している。(2)Sには若干の局部浸食が認められ、これは含有されているAlの酸化に起因することがわかった。(3)SはXRよりも低いクリープ強度を有する。(4)Sの受入れ材に熱処理を施して結晶粒を大きくすれば破断寿命は増加する。(5)Sのクリープ曲線は、受入れ材では単調増加型、熱処理材では逆S字型となる。このため熱処理材ではクリープの歪が大きくなるすなわちクリープ強度が低くなる範囲がある。
小川 豊; 近藤 達男; 石本 清; 大塚 保
JAERI-M 8154, 12 Pages, 1979/02
ホウ素含有量が2.3ppmの市販のハステロイ-Xについて、JMTRで高温照射(温度; 670880C、熱中性子照射量; 6.610/cm、速中性子照射量; 1.110/cm)した後、900Cにおいて最長12,000hrまでの大気中クリープ試験を行った。応力が約2.2kg/mm(破断寿命で約100hr)を境として、クリープ挙動が異なることが明らかになった。これより高応力側では、照射によって延性と破断寿命は約1桁低下した。これより低応力の場合には、応力が低くなるほど照射材の延性と破断寿命は非照射材の値に近づく傾向が認められた。金相試験の結果、低応力のものでは試料片の平行部全面にわたって多数の粒界クラックの発生していることが判明した。この全面クラックによってクリープ試験中にみかけ上の延性が保たれていると結論された。ホウ素量を1ppmに下げたハステロイ-XRについて予備的な試験を行ない、ホウ素量の低下が照射後の延性低下を防ぐのに有効であることが実証された。